荒木健太郎さんから、新刊「雲の中では何が起こっているのか」の紹介
荒木健太郎さんから、新刊「雲の中では何が起こっているのか」の紹介を頂きましたので、ここでも紹介したいと思います。
荒木@気象研です.
恐縮ながら,著書の紹介をさせてください.
今月23日に,↓の書籍が出版されます.
「雲の中では何が起こっているのか」 荒木健太郎,ベレ出版
雲の中では何が起こっているのか
気象をこれから勉強する学生さんや気象業務に携わるかた,研究者も含め,誰でも読める雲の読み物です.
特に学生さんや,防災業務に携わるかたに読んでほしいと思って執筆しました.
雲が関係する基礎的な熱力学・力学や雲物理,
気象災害をもたらす雲,実験・観測・モデルなどの最新の雲研究の話題などについて,
イメージしやすいように数式のかわりにゆるいキャラクターを使って説明しています.
大気光学現象や地球温暖化と雲,人工降雨など,「一般気象学」には書かれていない話題も多く盛り込んでいます.
第3章以降はけっこう深くまで突っ込んでいて,今年2月の大雪事例の紹介や,最近の論文も多く参照しています.
参考までに以下に目次と,すでに寄せられた感想を載せておきます.
書籍を通して,雲への興味と理解を深めてもらえればとても嬉しいです.
ぜひ手に取っていただければ幸いです.面白かったらまわりのかたに薦めていただけるとなお幸いです.
※書籍執筆にあたって,本当に多くのかたにコメント等いただきました.
この場を借りて感謝申し上げます.ありがとうございました.
公式ページ
https://ja-jp.facebook.com/CloudMeteorology
目次
第1章 雲を楽しむための基礎
1.雲って何?
2.雲の分類 ―― 十種雲形
3.雲を作る空気と水
水が持つ3つの顔 ―― 相変化
雲粒子が生み出す上下の流れ
水蒸気を含む空気の振舞い
空気自身が変わるとき ―― 断熱過程
「大気の状態が不安定」とは?
4.雲と風、前線、低気圧
風はどうして吹くのか?
ずれる風が雲を変える
前線を伴う低気圧の気持ち
5.地球における大気と雲
雲が生まれる地球大気の構造
雲と放射による地球上の熱バランス
水の輪廻転生
6.雲をなす粒子の姿
雲粒と雨粒の違い
「雪は天から送られた手紙である」
第2章 目で見て楽しむ雲と空
1.実践!雲による観天望気
2.雲による気流の可視化
山を越える空気の流れと雲
カルマン渦列を可視化する雲
ガストフロント上で発生するアーククラウド
モーニング・グローリー・クラウドと海陸風
美しく悩ましき乳房雲
雲から生えた尻尾
3.雲と光のコラボレーション
虹の色は何色?
雲が彩る光の空
雲に白黒つけるもの
第3章 微粒子から雲、雲から降水へ
1.雲粒子誕生の”核”信犯
大気中の微粒子「エアロゾル」
謎多き”核”信犯
2.「暖かい雨」ができるまで
雲粒の誕生と成長物語
雲粒と雨粒のドラマ ―― 出会いと別れ
3.「冷たい雨」を追いかけろ!
水は何℃で凍る? 氷晶の均質核形成
未知なる氷晶核と氷晶の誕生秘話
六角形の氷晶の成長物語
霰と雹が生まれるまで
手をつないだ雪と雪
雨で降るか雪で降るか
4.小さいヤツらが世界を変える! 意図的・非意図的気象改変
地球温暖化とエアロゾル・雲
人工降雨・降雪のサイエンス
コラム1:氷晶を室内で作る実験
コラム2:飛行機雲のサイエンス
第4章 雲の性格と一生
1.雲を生み出すチカラ
空気を持ち上げる上昇流
雲の発達と大気の状態
2.対流性の雲
積雲を作る対流
積乱雲は自虐的? 積乱雲の一生
空気の汚さで積乱雲は変わる
つながる心が雲の力! 多重セル対流
積乱雲が作るさまざまな対流システム
3.層状性の雲
霧の正体
空をくもらせる層積雲
巻雲の性格と生まれ方
4.雲の性格とエアロゾルの関係
コラム3:おみそ汁の気象学
第5章 気象災害を引き起こす雲
1.竜巻をもたらす積乱雲
竜巻とは?
強い竜巻の黒幕! スーパーセル
スーパーセルがなくても竜巻は起こる
竜巻と似て非なるもの
2.雷雲のなかで起こっていること
雲放電と対地放電
雲粒子と電荷分離
対地放電が起こるまで
3.豪雨をもたらす対流システム
豪雨の危険性
集中豪雨と線状降水帯
ゲリラ豪雨とはよばせない! 局地豪雨の仕組み
地形性豪雨と雲
4.豪雪と降雪雲による対流システム
降雪雲ができるまで ―― 気団変質と山雪
冬の日本海上の対流システムと里雪
降雪雲が織りなす渦
関東甲信地方の豪雪と南岸低気圧
コラム4:飛行機から見る雲の楽しみ方
第6章 雲をつかもうとしている話
1.室内実験による雲の研究 ―― 雲生成チャンバー
2.雲のなかに突っ込め!雲の直接観測
航空機による雲の直接観測
風船に託した希望 ―― 雲粒子ビデオゾンデ観測
3.離れた場所から雲を知る! リモートセンシング
レーダーによる雲の観測
「放射は天から送られたメールである」
宇宙から雲を見る気象衛星
4.雲の謎解きから気象予測のさらなる高みへ
天気予報の仕組み
天気予報が外れるワケ
エアロゾル・雲・降水予測のこれから
コラム5:身近に潜むバイオエアロゾルと雲
コラム6:気象情報の使い方
寄せられた感想
【一般のかたより】
素人からすると、気象の本といえば、空の名前みたいな写真集か、等圧線と記号の羅列か、といった極端な印象だったので、こういう素人目にも読める本があることは新鮮でした。やっぱ擬人化いいですね。
【一般のかたより】
最初、わたしには専門分野外の難しい話なのかなぁと恐る恐る読みはじめてみたんだけど、そんなことなかった!とてもすんなりと頭に入ってきて、面白く読ませてもらったよ。
まず、カテゴリタイトルのロマンティックさに読みたくなり、読み進めるうちに出てくるイラストのかわいさと分かりやすさに楽しくなり…
読んでみて、勉強になりました!ありがとう!!!
【一般のかたより】
私 学生の頃は生物選択で物理の知識があんまりないこともあって、 全部すぐに理解するのは難しかったけど、基礎的なことから丁寧に説明されていて、じっくり読むとすごく分かりやすかったです。 特にパーセル君がとっても分かりやすかった~。 やっぱり擬人化すると頭に入りやすいね。
あと今の研究の話「雲をつかもうとする話」の章が面白かったです。 天気の研究ってシュミレーションは想像着くけど、実測の最先端がどうなのかっていうのはあまり分かってなかったので、 実際のチャンバーの写真付きで説明があったのが良かったです。
面白かったし、友達にも読ませたいので書籍化したら絶対買う~と思ったよ! 気象の知識が一通り分かるいい本だな~と思いました^^
【気象学専攻の大学生のかたより】
感想としては、このような本にもっと早く出会いたかった!と感じています。
気象学について、数式を用いず、なおかつ様々な内容について説明されていて、読んでいて目から鱗がたくさん落ちました!(大学で気象学を専攻しておいて、今さらそんなんではダメダメかも知れませんが…笑)
また、多彩な写真や挿し絵のおかげで、とても読みやすく、とっつきやすい本になっていると思いました。これから気象学を勉強しようという人に、ぜひお勧めしたいと思います!
【民間気象会社に勤める社会人のかたより】
まず感想なのですが、「めちゃくちゃ面白かったです!!!」。大学時代は一般気象学等で勉強をしていましたが、とっつきにくい面も多く・・この本は、専門的かつ正しい知識を描いているのに、すごくとっつきやすかったです!!
学生時代に出会えてたらなぁ・・としみじみ思いました。今後読むであろう学生たちを、少し羨ましく思います^^;。
しかし、キャラクターが登場すると、すごくイメージがしやすくなるんですね。それでいて中身のクオリティが高いのが、本当にカミワザだと思います。ぜひこういう本をこれからも続々と出版して欲しいと願っております^^
【県職員のかたより】
私は県の土木職員で、過去に水防担当、ダム管理、洪水予報の基準作成などを少しかじっていて、この春からは砂防関係の現場を担当することになっています。日頃から気象、とくに降水に注意を払う分野です。
今年、冬の気象予報士試験に初めてチャレンジしてみて、学科二つを合格したところで、あらけんさんのこの書籍に出会いました。読みはじめての感想は、『もっと早く読みたかった!』です。
専門的な仕事や研究って、最終目標はなんなのか、、、って考えたとき、極端ですけど、『人の命を守る』に行き着くと思う思っています。そのまず一歩には、そ の成果を誰にでも理解できるように伝えること、注目してもらうことだと最近感じていたんですが、あらけんさんのこの書籍に出会って、その大切さ伝えられる 側として実感できました。
本当に素晴らしい一冊になると思います。
【気象予報士を目指すかたより】
私は気象予報士の資格試験を勉強中で、1月の試験で4度目のチャレンジでした。学科試験は昨年専門、今年一般で合格したくらいの知識です。この本があったらもっと早く合格したんじゃないの!?と思ってます、本当です。
受験生なら大体手にする「一般気象学」の本を、3ページ読んでは倒れ、3ページ読んでは崩れして四苦八苦してたのがウソのようです。
これから受験する皆さんは、これがあってうらやましいです。私も駆け足で読んでしまったので、この後じっくり勉強させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【気象予報士のかたより】
気象に関する入門書で、雲をめぐるあれこれについて、ここまで丁寧に触れられているものってあったのでしょうか。
気象予報士試験の勉強のときに、すんなり頭に入らなかった分野だと思います。潜熱?顕熱?エアロゾル?凝結?昇華?初心者の方が見て、ぱっとしないですよね。。。
ということで、荒木先生の著作の目の付け所が良いと思いました。かゆいところに手が届くんですよね。
【気象キャスターのかたより】
まず、とにかく、面白いです!!先日も書きましたが、雲物理の本って、専門的すぎるのはあっても一般向け~気象予報士レベル程度のものはなかなか無くて、ようやく良書に巡り会えた、という印象です。
やはり、いろんなキャラクターが出てくるのが分かりやすくて良いと思います。僕ら解説者は、いつも「専門的に伝える際の厳密さ」と「分かりやすくするための ある程度のデフォルメ」の狭間で、悩みつつ、分かりやすい伝え方はないのか、と日々考えているのですが、それを研究者の方にやっていただいた!という印象 です。
僕らはいつも、「擬人化」「模式化」「イメージ化」「たとえ」を駆使して解説するのですが(良し悪しはともかく、NHKニュースウォッチ 9 の「春ちゃん」 「冬将軍」が好例でしょうか)、専門家の方の太鼓判を押された形で、雲物理の主役たちを擬人化されたら、これ以上の分かりやすさは無いと心底思います。 しっかり噛み砕いて説明すれば、小学校高学年くらいでも十分理解できるかもしれないですね。感服しました。
【気象研究者のかたより】
基礎からわかりやすく、最新の話も盛り込んで、よくこれだけ書かれたものと感心しています。どなたにも勧められる本だと思います。復習+勉強も兼ねて、良い刺激になりました。山地の降雪についてseeder-feederに良く言及されている点も個人的にうれしいです。
ゆるキャラいいですね。何回か笑ってしまいました(研究室でひとりなので気兼ねなく)。
【海洋研究者のかたより】
私は仕事上、海の影響をしめすために大気モデルを動かすこともあるが、本来は海洋物理が専門であるし、気象予報士でもないので、大気モデルの特に雲に関してはブラックボックスな所がある。
そんなわけで、この本は雲のことを学びたい私にとってもピッタリな本だ。言い尽くされた感想だと思うが、イラストが良い。今まで教科書で学んで、知識とは 知っていてもピンとこなかった部分が頭に入ってくるような気がする。イラストがプレゼン素材として売っていたら、お金出して買いたい!
そういう専門的な興味とともに、子供の頃から持っている、雲ってなんなの?という疑問を思い出した。水だったらなんで落ちてこないの?水蒸気だとしたらなんで見えて るの?という疑問だ。今でも中学生の甥っ子とかに聞かれたら明確に答えられる気がしない。本書では第1章の冒頭に「雲の定義上、雲粒子の集合体が「大気中 に浮かんでいる」ことと、「見えている」ことがポイントです。」とズバリ指摘されていて、うれしくなった。
本書はイラストが全面に強調されてい て、一見ただの入門書のような装いをしているが、中身はがっちり詳細なことまで書かれていて、少なくとも私のような、なんちゃって気象も専門みたいな人に は考えさせられることも多い。絵本や学研漫画のように気楽に読めると思って見始めると骨が折れるかもしれない。
結論としては、中級者以上にとっては絶対おすすめ、初学者にもすすめられるが、構成がもっと明確であればもっと自信をもってすすめられるといえる。
※荒木コメント:感想をいただいて構成を変えました.
「eラーニングをすべての人に!」
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担当:o.nakamura