第50回気象予報士試験実技2-1 動画解説
第50回気象予報士試験実技2の解説を行っていきます。
いつも言ってますけれども、ここでは問題に沿って答えを見ていくんではなくって、問題で使われている天気図の解説を主に行っていきます。
ではさっそくですね、天気図の図1から見ていきたいと思います。なんかこう、のぺっとしたね、なんでもないような天気図に見えますね。日本海に低気圧があります。南の海上にも低気圧がありますけれども、いずれもそんなにすごく発達してるという様子はないですかね。
ただ、ポイントとなってくるのはですね、あまり発達はしてないんですけれども、低気圧のまわりにすごく低圧部が広がっている。
特に日本海の低気圧の周辺なんかは、この辺りとか いびつに膨らんでるところがないですか。
いびつに膨らんでるところは低気圧として解析はされてませんけれども、まわりもここ気圧が低いところですよということですから、
なんかそこにくすぶってるものがあるのかもしれないですね。
その辺り他の天気図でも見ていきたいんですけれども。後、東 海上の高気圧結構強いですね。
この高気圧の後面に当たる関東地方辺りには、1020hPaの等圧線がぶりっと食い込むように張り出してますよね。ここ寒気が残ってるのかもしれませんけれども、こんなふうな形になってるということは、地上風の卓越風向としては、北東風とか東寄りの風が、この辺り卓越しているというふうに考えられますね。
それも実はひとつのポイントで、そんなところがこの地上の天気図から読み取れますよね。じゃあ、この上空の状態、500hPaとか、850hPa、700hPa、いろんな気象予想がありますが、どうなってるのかなというのを見ていきたいので、その前に、鉛直プロファイルとか雲画像とかいろいろありますけれども、先に天気図の方を見ていきましょう。
図の5ですね。図の5で、上が500hPa高度渦度分布図、下が850hPa気温風700hPa鉛直流ですね。こちらが先ほど見ていただいた地上の実況の天気図です。この上空はどうなってるのかというね、ただ横に天気図並べてみても、わかりにくいんですよ。
先ほど言った、低気圧たちとの関連。上空とどんなふうに関連してるのか、この低気圧の上空ってどういうふうになってるのかなというのを見たいので、面倒くさい、ちょっと時間がかかるんですけれども、
必ずですね、地上の低気圧の中心を上の天気図に、こんなふうにですね、プロットしてみてください。
そうすると、低気圧の周辺の状況ってですね、間違えが無い、間違いなくよくわかります。ですから、少し時間はかかります。試験の最中なんて特に焦っちゃうかもしれませんけれども、これに時間を割くと本当にミスが無いと思いますんでね、ぜひやってください。
こんなふうに今地上の天気図で出ている主な南海上の低気圧と日本海の低気圧を星印でプロットしてみました。
まず上の500hPa高度渦度分布図で見ていくと、強風軸、主に2本あるかなという感じですかね。渦度ゼロ線で強風軸を解析してみると、1本はこのあたり5460mから5520m付近の渦図ゼロ線付近に解析できそうだなと。この辺りからもね、合流してくる流れがあるんですけれども。それでもう1本は南海上の方、この辺ですかね、正渦度域がありますが、5700から5760m付近のところに一個流れがありますかね。
こんなふうに見ていきますと、まず日本海の低気圧は中国東北区のこの辺のトラフ、ここから深まってくるトラフと、いずれ対応が良くなって、結びついて発達していくという予想ではあるんですけれどね、先に行っちゃいますと。予想ではあるんですけれども、この段階で、じゃあそのトラフと結びついてるのか対応がいいのかと言ったら、そんなことないわけですよね。今はまだそのトラフと結びついてるとは言えないくらい離れてますし、唯一ですね、この強風軸5460m辺りのこの強風軸に関連してそうだなということなんです。
それで下の図を見ると、この5460m付近の強風軸に対応する、ここの温度集中帯、前線帯が6度線とか6度3度0度あたりのところが線が一番集中してますかね。850hPaで、等温線の集中帯を形成しているということで、先ほど見ていただいた日本海の低気圧は、この前線帯のところにある低気圧でありますよ、と考えると、さっきも言いましたが、あの低気圧、ここのね低気圧、低圧部のところにいくつかくすぶっている、表に出てきていない低気圧があるわけですよ。
まだ、上空のトラフとの結びつきとか対応が良くないですから、どれが発達していく、昇格していくか分からない状態なんですよね、結びついてないので。だから、この前線帯の中にそうやってくすぶってるやつがいくつかいて、今この時間帯を切り取ると、一番気圧が低くなってるのはここですね、というので低気圧が解析されてるわけです。
そうするとトラフが深まってきたときに、今回の事例なんか特に、あれ?低気圧見失う、みたいなことになるかもしれませんけれども。この辺のサーファー達がビックウェーブを待ってるわけですよ、このへんでね。ビックウェーブに誰が乗るかみたいなね、上手く乗れるのは誰かみたいなことになってるわけです。ですから、今ねぼんやりしてわかりづらいなというのは、あるかもしれませんけれども、抑えておくところは強風軸、トラフ、あと温度線、集中帯ですね。ここは前線帯になってるなというところですね。
あともうひとつ、南の海上の方の低気圧なんですけれども、こちらも低気圧の中心はありますけれども、そんなに発達してませんね、と言いましたが、この辺りでっかく低気圧循環があるんですよね。こういう表現になっているんでしょうけれども。あと特徴としては、低気圧の進行方向前面、この辺りでですね、すごい温度線が集中していません?
温度線の集中帯を形成しておりまして、南東風25ノットから30ノットくらいですか、しっかり南東風が吹いていて、暖気流もしっかりしている。その集中帯にそって、上昇流の極値が、極大域が連なって解析されていますよね。ここにすごくしっかり暖気が入ってきているという。低気圧の中心に向かってじゃないんだね。これもやっぱりさっきこの時刻で閉塞してますって言ってましたけれども、まさに閉塞してる感がこの温度分布でも分かるわけです。
あともうひとつね、雲行きとか雨のエリアについても聞かれてましたよね。ちょっとそれを実況で確認していきましょうか。まずは図3の左上にありました2日21時初期時刻の赤外画像です。さっそくもうね、南海上の低気圧の中心はこの図に星印でプロットしてみました。問題によると、この雲分布の特徴で、要はこの低気圧既に閉塞過程にあるよ、その証拠を説明してくれということですよね。
今ここに低気圧どこにあるのかというのを出したかったので、並べてみましたが、単純にこの低気圧周辺って高い雲なくないですか。白くないですよね。暗くて、赤外画像ですから、暗く写ってるっていうことは雲長高度の低い雲しかないということです。低気圧の中心付近には、雲長高度の高い雲は無いというのがひとつあるわけです。じゃあ、このまわりはというと、低気圧のこの南から東側にかけて結構真っ白な雲長高度の高い雲行きがあるわけです。よく見ると、段階上にポツポツポツとなっているので、帯流域かもしれませんね。これって何かといえば、寒冷前線に対応する雲行きです。ここね。低気圧の中心にかかってないですね。中心をほったらかしにしているような感じになってます。ですから、この辺りが寒冷前線に対応する、こういう帯状の雲行きは低気圧の中心からは離れて、南から東にかけて分布している。こういうところが閉塞しているひとつの形、特徴ですよね。もっというと、この辺り低気圧の中心付近が乾燥してるって言いましたけれども、こういうところに乾燥した空気が入ってきていて、水蒸気画像なんかで見たら、ドライスロットなんかね、そういうふうに表れるのかもしれませんね。だから、そういうふうなところ。ドライな空気が低気圧の中心の南をまわって東まで回り込んできているということは、閉塞過程に入ってきているひとつの証拠と言いますか、特徴的な形ということになりますので、閉塞過程に入ってるかどうかを雲画像だけで判断させるみたいな機会もそんなに無いと思いますけど、普段天気図見る時なんかは、天気図と合わせて雲画像もちょっと気にしてみると、すごい勉強になると思いますんでね。
それともうひとつ、雨雲ですね。合成レーダーで見てみます。そうすると、ここにね関東の南の海上にもさもさもさっとね、この辺りにまとまったエコーが出てるじゃないですか。これどこに相当するんでしょうということですよね。どこにあるかを示すために、隣に地上の天気図を示しましたけれども、どこですか?低気圧と全然関係ないんですよね、実はね。
低気圧の北側で、この辺りですよね。低気圧の北側でそれどこかというと、高気圧の後面で立地が張ってるところ、その南側です。つまり等圧線で言うと、こういうね、ちょっと極端に書きましたが、低気圧性の曲率を持っているこの領域。つまり周りよりも気圧が低い低圧部になっている、気圧の谷になっているところに、こういった降水が表れているということなんですよね。別に「へーこれ低圧部でできてるんだ」だけじゃなくて、ちゃんとGSMの解析でも出ているんですよ。
ということでね、先ほどの図5をもう一度見てみましょうか。降水はこの辺りです。凹んでるところですね。この辺りを上空500hPaの渦度分布とか、700hPa鉛直流、850hPaの風気温などで確認してみると、この辺りに正渦度移流域になってる、なんだったら今引いた、トラフがありますかね。そんなに明瞭じゃないですけれども、そのトラフが近づいてきているところであるということがひとつと、仮想を見てみますと、-45hPaの上昇流が解析されていて、そこでは結構しっかりした南東風が吹いています。さっきね、この地上で高気圧が張り出してると、こんなふうな形で張り出しているときには、関東平野なんかはですね、北東風とか東寄りの風が卓越してますよ、と言いましたけれども、ようはそうやって入ってくる冷気層、下層にできた冷気層の上に南東風でしっかり暖気が入ってくる、這いあがるようにね、入ってきたものが上昇流としてこんなふうに計算されている、上空は西風のエリアで正渦度移流域でっていう、ようはですね、鉛直視野がすごい大きいところで、発生している降水だったんですよね。
ここなんでこういう降水が起こっているのかなというのも大事で、ここではちょっと遠いんですけれども、館野の風の鉛直プロファイルで問題が出てましたよね。館野は茨城県ですから、降水域から北にあるのでね、参考程度という感じですけれども、関東南部がどういう状況かというのを見るためにですよ。問題では850hPaから700hPaまでの間の気層の温度移流は何ですかという話でしたよね。風の鉛直プロファイルで温度移流見る時って、風向が下層から上空に向かって時計回りに風向変化するのか、反時計回りに風向変化するのかで暖気流、寒気流ってわかりますよね。だからこれ、一目瞭然で暖気流場なんですけれども、暖気流があるっていうことはわかるんですけれども、それにプラスこの温度風を風向と、風向というか方向と、温度風の強さをノットで書いてという問題でしたよね。さらに細かく聞いてきたみたいな感じですけれども。いろんな方法あると思いますけど、定規で例えば850hPaの風をこのままビュンって伸ばしてグラフから外れさせるくらいまで伸ばしてみる。700hPaの風もわっと伸ばしてみる。この角度を利用してホドグラフを書いてみるということです。
850hPaの風は南南西の風10ノットですから、例えばこの角度で1cm、10ノットは1cmにしようと決めました。700hPaの風は15ノットです。北西風ですから、同じ始点から、ここと平行にしてですね、ここを10mm、ここを15mmにしました。私はですよ。そうすれば、温度風ベクトル書くの簡単じゃないですかという。長さ量ればいいんだからということですよね。こうやってホドグラフを書いたら、ホドグラフは下層風のベクトル先端から上空の風の、上層の風のベクトル先端に向かって、温度風ベクトルを引くんですよ。ここを間違えちゃいけないところです。これが温度風ベクトルです。ここですね、ここが温度風ベクトルです、とやると長さ測ったら21mmくらいだったのでね、21ノットって書くと、大体ね皆さん合うと思うんですけれども、風向、風向というか温度風の方向としては北西ないし北北西とか、そんなふうになってくるんだと思いますけれども。こういうふうにしてですね、フォドグラフを使うことによって、温度移流がどっちかってのがわかりますし、温度移流の温度風の鉛直視野の大きさ、強さが分かりますんで、ぜひ活用していただきたいんですけれども、今言ったように方向間違えると全く逆になっちゃうんですよね。温度風って暖かい空気を右に見てベクトル向かいますから、この状態ですと、この三角形の中が暖気、あったかい空気と。三角形の中側が暖かい空気で外側が、こっちが冷たい空気ということになりますから、風は温かい側から冷たい側に向かって吹いてますので、これ暖気流があるねって判断できるわけです。もしこれ逆に引いちゃったら寒気流になっちゃいますよね。間違えちゃいますので、そこは注意して、それで積極的にね使っていってほしいなと思います。ということで、ここまでが実況です。続いて予想を見ていきます。
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