北極海で発生・発達する低気圧!
「JAMSTEC2013」に行ってきましたシリーズ第3弾!「北極海で発生・発達する低気圧!」
です。なんと、われわれ中緯度帯人間にお馴染みの、あの温帯低気圧が北極海で発生・発達するというのです。
お話を伺ったのは、
海洋研究開発機構の地球環境変動領域の寒冷圏気候研究チームリーダーの猪上淳さんです(^^)
実は、猪上さんは「国立極地研究所」というさらに未知な世界にも所属するという…なんかすごい人のお話を、
かなりポップな感じで聞いてしまいました…(^^;)。ハイテンション研究者モテサクさんのおかげであります。
しかし、猪上さんもとても気さくな方で、実際に北極海の低気圧に突っ込んだお話を、周辺エピソードとともに
詳しく教えていただきました。
<2010年9月>
そもそも、これは2010年9月に実施された海洋地球研究船「みらい」の北極航海でのこと。
北緯79度付近の、北極海の海氷の端っこで低気圧が発生し、そいつの発生・発達過程を、世界で初めて
詳細に観測したのだそうです!
これが海洋地球研究船「みらい」おおお!超カッコいいですね!
(ちなみに、この写真はJAMSTECのホームページで壁紙としてダウンロードしたものです。他にも、壁紙として
すてきな写真がたくさんあります。私も壁紙にしました!)
そして、この「みらい」に乗って…
ポスターの接写だから詳細は分かりにくいかも知れませんが、明らかに発達した低気圧の形くさいです。
猪上さんは、ここに突っ込んでいったそうです。北極海でも、中緯度帯みたいに温帯低気圧が発達するのです。
予報士の勉強をされている方は、温帯低気圧の発生・発達の仕組みをすでに勉強されている方もいるかと
思います。すると、北極方面なんて温度差無いから温帯低気圧なんて発達しないのでは…と思いませんか?
その、温度差が温暖化の影響でくっきり現れるようになったのだそうです。
温暖化の影響で、夏場の北極海の海氷が減っているという話は有名です。では、それが具体的にどのように
温帯低気圧の発生に寄与しているのでしょうか。
<海氷無しの海上の空気と、海氷の上の空気>
その海氷が減ってる所で、海氷の端っこと海上の境目に着目すると、夏の間は海氷がとけて海面が露出した所で
太陽光をガンガン吸収し、その熱で海上の空気が暖められます。それに対して、海氷が残っている所は氷により
空気が冷やされます。この、冷気と暖気がとなり合っている状態が秋口にMaxになります。
すると、まさに中緯度帯でお馴染みの温帯低気圧の発生・発達にもってこいの環境となるわけです。
北極低気圧は、温帯低気圧の構造ですから、温暖前線、寒冷前線、最後はちゃんと閉塞して…という生涯を
たどります。へ~。北極でもそんなことが…!驚きました。
猪上さんたちが行った観測は、「みらい」から3時間毎にゾンデをあげて大気をガシガシ観測し、同時に
海面水温や塩分などを観測して、北極低気圧の発生・発達のシステムを調査したもの。
眠れないぐらい細かく観測したそうです。その結果、エライ勢いで発達していく低気圧を、目の当たりにした
そうです。例えば、2012年4月のあの大盛り上がりした爆弾低気圧(覚えてますか?)の発達の時のように、
圏界面が500hPaぐらいまで垂れさがってくる様子などが観測できたそうです。すごいですね!
<負の連鎖が…>
さらに、この低気圧に伴う寒冷前線の通過後今度は、大量の熱が海洋から大気に放出されることで海面水温が
どーんと下がります。すると、海氷の南端が緯度にして2度ぐらい南下するのが観測されたそうです。
このように、夏の海氷の減少によって発生した低気圧が、海の熱を大気に放出する効果を担い、その熱が冬の
北極付近の温暖化をすすめ、海氷が育たない。そのため、次の夏にすぐ海氷が溶けて海氷減少が促進される、
で、海氷が減少すると低気圧が発生して…まさに、負の連鎖です。
北極海なんて、そんなに注目したことがありませんでしたが、海洋と大気の間でこんなにもダイナミックに
熱交換がなされてるとなると、こりゃ中緯度帯のお天気予報にだって、当然影響がでてくるわけです。
今までは、この辺の熱交換はモデルに組み込まれていなかったのですが、いよいよ組み込まれる計画がある、
とのことです(^^)。
あと、「海氷が減って、夏の北極海航路がアツいぜ」的な話を聞いたことがありますが、こんなゴツい低気圧が
発達し得る海域となると「いいね!北極海航路!」とも、一概には言えないということが分かりました。
よくよく考えてみれば、かなり危険な観測じゃない??という、エピソードをあまりにも楽しそうにお話し
するもので、話している最中は危険度に気づかなかったほどです。
まだまだ北極海方面、興味深いことがたくさんありそうです!今後も注目していきたいと思います!(^^)
猪上さん、ありがとうございました!
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