寒冷渦
天気予報では明日(19日)にかけて、西日本から東日本の広い範囲で「大気の状態が不安定」と言ってます。
特に、これから夏にかけて、頻繁に耳にするようになる言葉です。
「大気の状態が不安定」って、実際どういう状態なんでしょうね?
簡単に説明するために…
たとえば、だるまさんを逆さに置いてみてください。妄想で。
すると、バランス悪くてひっくり返っちゃいませんか?
それは、上の方が下より重くなっちゃうからです。
それを空気や水に置き換えると、暖かい空気や水は冷たい空気や水よりも軽いためたとえばこんな事が起こります。
冷たい空気と暖かい空気が隣り合うと…
冷たい空気は重いので、暖かい空気の下にもぐりこみます。
すると暖かい空気は押し上げられて、最終的に下に冷たい空気、上に暖かい空気という層を成して、落ち着きます。
さて「大気の状態が不安定」というのは、つまり暖かい下層の空気の上空に、冷たい空気がやってくることでバランスが悪くなり、空気がひっくり返りやすくなる状態
空気がひっくり返るとどうなるか?
下層の暖かく湿った空気が一気に上昇し、雷雨や局地的な豪雨、突風、竜巻など、
激しい現象が起こりやすくなるのですね。
で、昨日から言われている不安定ですが、実は「寒冷渦」という形で、上空に寒気が近付いてきているのです。
「寒冷渦」は中心に寒気を持った、上空の左巻きぐるぐるです。
(左回りのぐるぐるを低気圧性循環と言い、上空の低気圧です)
寒冷渦の作り方
まず対流圏上層に、発達中の気圧の谷(トラフ)があります。
それが、偏西風の蛇行が南北にフリ幅が大きくなり、トラフが深くなると、寒気を取りこんで偏西風の流れから低緯度側に切り離されちゃいます。で、寒冷渦の出来上がりです。
上空の流れはこんなイメージ。実線は等高度線と思って下さい。
等高度線(等圧線)が閉じた状態になっています。
寒冷渦は、偏西風の流れから切り離されているため、普通の上層の気圧の谷に比べて移動速度が遅いのが特徴の一つです。
上の図が19日0時の上空500hPaの寒気と等高度線
下の図が同時刻の850hPa流線と降水域の予想です。
寒冷渦の中心の南東側に、下層(850hPa)では南寄りの風が収束して、強めの降水が予想されているのが分かります。
このように、南から流れ込む暖気との境界では(南東象限という)特に強い不安定状態となり、大雨や大雪、雷雨、突風、降雹などシビアな大気現象が起こりやすいのです。
さきほど書いたように、寒冷渦は偏西風の流れから切離されているので、動きが遅いだけでなく、停滞したり反時計回りに動くことがあります。そのため、渦の中に入った地域は、シビア現象が起こりやすい状態が長時間続く場合があり、非常に危険なのです。
さて、関東地方は今夜から明日朝にかけて、寒冷渦のせいで大気の状態が不安定です。
↓これが、19日朝7時の関東地方の様子。
地上風の流線が収束している所では、やはり強い降水が予想されています。通勤時間頃だし、架線に落雷なんてあったら、すぐ電車送れたりしますから、明日朝はそんなことを視野に入れて行動しましょう~
これから、天気予報で「大気の状態が不安定」っていう言葉を聞いたら、是非、天気図とか見てみてください。
上空でぐるぐるしているかも知れません
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