いろいろな天気予報
天気予報と一口に言ってもいろいろありますよと、先日はその一部を紹介しました。
今日は、これから夏に向けて、ちょっと異色な予報があります。それが…
光化学スモッグの予報です。
なぜ異色か?というと、予測現場では夏の間、例えば大気の状態が不安定だなんていう事が多々あり、局地的な強雨に目を光らせています。逆に、大気がわりと安定状態で、穏やかな晴れ、風も弱いね~、なんて時は少々のんびりします。
その、のんびり空気の傍ら、一人あくせく働いている人が居るのです。それが、汚染予報を担当する人
<光化学スモッグとは>
部活やってる最中に、光化学スモッグ注意報が出たからってグランドでの運動を中断させられた経験ありませんか?まあ、私は目が痛くなるような経験はないのですがね。
っていうか、何キッカケで光化学スモッグって出るのでしょうかね?
そもそも、光化学スモッグってのは工場や自動車の排ガスそのものと思われがちですが、少し違います。
それらの排ガスには、窒素化合物や炭化水素と呼ばれる物質が含まれており、コイツらが太陽からの紫外線を受けて光化学反応を起こし、人体に害のある「光化学スモッグ」に変身するのです。
それを、ビミョーな画で表現してみました。いかがですか↓
いわゆる汚染物質の、濃度が高くなる条件はいくつかあります。
気温
最高気温20℃以上で、すでに光化学スモッグは発生しやすい状況です。まあ、注意報が発表されるレベルに達するには、最高気温25℃以上で条件の一つクリアです。だから、夏だけ注意報が発表されるのですね
日照
紫外線を予報するのは難しいので、日照時間に置き換えて予報を立てます。つまり、よく晴れるぞー!と予想される時は、濃度が上昇する可能性があり、注意です。
風の吹き具合
風は、比較的弱い方が光化学スモッグ注意報が発表されやすいです。風が強いと、汚染物質が拡散しやすいから、濃度が上がりにくいというのが、一つの理由です。しかも、この風ってのがかなり重要な要素の一つなのです
大気の安定度
ちょっと専門的な話ですが、要するに上空と下層で空気がひっくり返りやすいか、そうではないか、その度合いのことです。「上空に寒気が入って、大気の状態が不安定」というアレと、言葉の中身は同じです。ただ、汚染物質の濃度が上がるには大気の下層が安定していることが条件になります。
夏は、これらの条件が揃っちゃいそうなら要注意ということです。
<風は強弱だけ注意すりゃいいってもんじゃない>
もちろん、先ほど言ったように風が「弱い」というのは重要な条件の一つですが、どこで光化学スモッグが一番ヤバいか?ということになると、風が収束するところも考えないといけません。
それで、考えなきゃいかんのが「海陸風」の日変化です。
海面は陸面と比べて、一日の間の温度変化が小さいのに対し陸地は陽が射せばぐんぐん熱くなり、夜になればぐんぐん冷める。その結果、日中は地面付近が低圧になって、海から風が吹きこみます。これが海風です。逆に、夜は海面の方が暖かくなるので陸から海に向かって、風がだらだらと流れ出ます。
これが陸風です↓
この海陸風が、どの範囲まで影響するか?それが重要です。
さて、海陸風の仕組みを知った所で再び、ビミョーな画で表した関東平野の風系をご覧ください↓
赤い矢印で表しているのが、海風です。だから、東京や埼玉、神奈川県とかってのは、相模湾からの海風、東京湾からの海風鹿島灘からの海風が入ってくるのです。ということは、どこかで空気が収束する所ができる可能性が高いのです。
すると、空気が収束する所は汚染物質が溜まりやすいということになるのですね。
<どこまで運ばれるんだ~?>
上の関東平野の地図には、海風の他にもいろんな矢印と、なぜか「低」の文字が…ご説明しましょう
①先ほど説明した「海陸風」は、熱的原因で比較的狭い範囲で吹く風で、局地風と言います。対して、気圧配置の関係で吹く大きな風系を一般風とか、環境風とか言ったりするのですが、例えば夏に晴天をもたらす気圧配置を考えた時、太平洋高気圧の縁辺を回って、関東地方には南寄りの風が入りやすい状況だった場合…
海風の区別も付きにくいし、陸上のどこまで入り込んでるのかも分かりにくいし、なんなら夕方頃になるとそれらがあいまって、かなり強い風になることがあります。
②局地風でもう一つ考えなければならないのが、山谷風です。
日中は山の斜面付近の気温の方が、山麓の同じ高度の気温より高くなるため、山麓から山の斜面をのぼる気流が発生します。
それが谷風です。
逆に、夜になると斜面付近の空気が冷えて重くなり、ずるずると斜面を降りてくる気流が発生。これが、山風です。
ここまで考えた所でも、南寄りの一般風+海風+谷風となって海岸線からずーっと内陸までつながっている風系が作られるというわけです。さらに…
③日中の強い日射を受けて、中部山岳地帯が熱せられ低気圧が発生することがあります。夏場はわりとしょっ中できるで、それをヒートローとかサーマルローとか言ったりします
ヒートローができると、それに吹き込む風が生まれます。
このように、関東地方の海岸線から中部山岳にまで繋がる風系には、いくつもの要素が含まれているのです。これが見事に、そしてうまい具合に連なって、京浜工業地帯の汚染物質が長野県まで流されることもあるんだって。
光化学スモッグの予報は、一般にどーんと発表されるものではありません。注意報や警報は、市区町村から発表されます。つまり、前もって把握するには、気温とか風とか晴れ具合など自分で情報を集めて注意することも大事なんですね~
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