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海面水温

今週、ゴツイ台風が東日本に上陸、駆け抜けて行きました

凄かったですね。数字上、スゴイことになると分かっていても、実際に

体験すると改めて台風のコワサを感じました。なるほど、ムダに

外出しちゃいけないワケだ…

 

21日午後、

静岡県浜松あたりに上陸した時の中心気圧は950hPa。

中心付近の最大風速は45m/sで、これは台風のランクで言えば

「非常に強い」状態。こんなのが上陸してきたんです。

ヒドイ暴風になるのは当然ですね

 

台風の勢力が「非常に強い」という状態で東日本に上陸したのは

初めてだそうで、今回この台風15号が日本付近で異例の発達を

見せたのは「海面水温が原因」という話しを、何度か耳にしました。

 

<「海面水温」は台風発生の条件>

台風にとって海面水温は、発生・発達の大事な条件です。

台風の発生には、海面水温26~27℃の高い海面水温が必要

。というのも、

台風のエネルギー源は水蒸気(詳しく言うと、水蒸気が持っている潜熱)です。

暖かい海上で水蒸気が補給されることで生き続けられ、逆に上陸しちゃったり、

海面水温が低い高緯度のエリアに進むと衰えてしまうのです

 では、台風15号がどんな経路をたどったのか見てみよう!

 

紫のラインが、台風15号の経路。経路上の青い点は、台風の位置と中心気圧で、

例えば「15(.994)」は15日9時の位置、中心気圧は994hPaという意味です。

 

これを見ると、15日~19日までは沖縄の東海上でグルグル、

ゆっくりと力を蓄えてるような不気味な動きをしています…

その後、いきなりやる気を出して北上し始め、20日~22日にかけては迷わず

北東進している感じ。スピードも速いですね~。

 

台風15号の発達度合いの経過

赤いラインが台風15号の中心気圧の変化。20日に急激に気圧が下がり、

これまでの発達度合いとは違って急発達です。

 

では、問題の海面水温を見てみます…

(9月20日の海面水温の解析)

等値線がちょっと見にくいかな…。

台風がぐんと発達した20日、九州の南海上~紀伊半島の南岸に向かって北東進した経路上の

海面水温は、27℃以上の海域です。確かに、台風の発達に必要な条件の一つを満たしています

また、9月の海面水温の平年値はコレ…↓

 

ざっくりと25℃の等値線に注目すると、20日は平年よりもかなり高緯度に達してます。

それだけ、日本付近の海面水温が高いということです

 

こりゃー発達するわ…と、納得したいところなのですが、平年差と比較すると

オモシロイことが分かります。

これは、9月20日の日平均海水温偏差の図。

網かけのエリアは、平年よりも海面水温が低い所です。

 

で、図に15号の経路の一部をプロットしてみました。赤い点は

急に発達し始めて段階的に気圧が下がっている最中ですが、

紀伊半島の南岸に達すると、その先の青い点は気圧が上がり始めている所

なのです。あれ?なんか変だな…

台風が急発達し始めた所の海面水温って…

平年並み程度~なんなら平年より低くない

 

つまり、今回の台風が日本付近で急発達した理由として、

「海面水温」を真っ先に挙げるのはちょっと乱暴な話じゃないかってことです

だって、海面水温ってことで理由付けしちゃったら、7月の台風6号の時は

どうなるの?あの時の海面水温は28℃以上だったのに…って、

いろいろ矛盾が出てきちゃうし

 

テレビで扱うお天気は、原因をすぐに断定したがる傾向があるように見えます。

制作側としては、そうじゃなきゃオモシロクないと思っているのかも知れませんね

でもね、予報士だって分からないことはあるし、時間かけて解析しなきゃ

分からないこともたくさんある!のです。

だから、今回の台風の盛衰はもちろん海面水温が一因であった

可能性はあるけど、それを主たる原因として位置付けるには、

データがフワフワし過ぎってもんです

 

ハッキリ言って、原因は今のところよく分かりません!

っていうのが正直なところなのだ。

よく分からないって言っちゃダメなのかなあ???

 

 

            

 

 

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担当:o.nakamura