今年の南極上空のオゾンホールは1990年代以降で最も小さい規模
気象庁のホームページで発表されていたので紹介します。
今年の南極上空のオゾンホールは、9月下旬に最盛期を迎えて南極大陸の約 1.5倍まで拡大しましたが、 1990年代以降で最も小さい規模となりました。
▼以下、気象庁の発表からの引用
気象庁が米国航空宇宙局(NASA)の衛星観測データを基に解析した結果、南極上空のオゾンホールは、 例年と同様に8月に現れたのち拡大し、9月22日に今年の最大面積である2,080万km2(南極大陸の約1.5倍)まで広がりましたが、大規模なオゾンホールが継続して出現している1990年代以降で最も小さくなりました。 これは、オゾン層破壊の促進に関係する南極上空(高度約20km)の低温域(-78℃以下)の面積が、7月中旬から8月にかけ例年に比べて小さかったことが主な原因と考えられます。
オゾンホールの面積は、1990年代以降で最小となりましたが、長期的にみると1980年代前半と比較して依然として規模の大きい状態が継続しています。 これは、南極上空のオゾン層破壊物質の濃度は緩やかに減少しているものの、依然として高い状態にあるためです。
今年は、オゾン層を破壊する物質の生産と消費の規制を定めたモントリオール議定書が採択されて25周年を迎えました。 オゾン層破壊物質の減少がこのまま続けば、南極のオゾンホールは徐々に縮小してゆくとみられますが、オゾンホールの形成・発達は南極上空の気温に大きく依存するため、気象条件の変動により、年によっては今年より規模の大きいオゾンホールが発生することも考えられます。
世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)が取りまとめた「オゾン層破壊の科学アセスメント:2010」によると、南極上空のオゾン層が1980年以前の水準に戻るのは今世紀半ば以降になると予測されており、気象庁では引き続きオゾン層の状況を観測し、的確な情報提供に努めます。
今年の南極オゾンホール
http://www.jma.go.jp/jma/press/1210/24b/ozonehole1210.pdf
さて、オゾンホールに関しては、気象予報士試験でも学科・一般知識で出題されています。
折角なので、関連する過去問を解いてみましょう。
南極のオゾンホールとその成因に関する次の文(a)~(d) の下線部の正誤について,下記の①~⑤の中から正しいものを一つ選べ。
(a) オゾンホールは,南半球の春先に発生する現象である。
(b) オゾンホールは,クロロフルオロカーボン( フロン) 等を起源とする塩素ガスが光解離によって塩素原子となり,それが触媒として作用し成層圏のオゾンを破壊してできる。
(c) オゾン破壊の過程では極成層圏雲の存在が大きな働きをしている。
(d) オゾンホールは,極渦が弱い年ほど大規模に発達する傾向がある。
選択肢
① (a) のみ誤り
② (b) のみ誤り
③ (c) のみ誤り
④ (d) のみ誤り
⑤ すべて正しい
解説:
オゾンの破壊の過程では、極成層圏雲の存在が大きな働きをします。南極が冷える期間に、強い極渦ができると低緯度との空気の混合がなくなり極端に冷えます。冷えた上空には、氷の粒子からなる極成層圏雲ができるので、大規模なオゾンホールができます。
よって解答は 4 となります。
(平成23 年度第1 回)
気象予報士試験の過去問は、気象業務支援センターで公開されておりますので、興味がお有りの方は是非、チャレンジしては如何でしょうか。
参考情報:
今年の南極オゾンホール (気象庁)
http://www.jma.go.jp/jma/press/1210/24b/ozonehole1210.html
http://www.jma.go.jp/jma/press/1210/24b/ozonehole1210.pdf
過去の試験問題(3年分) (気象業務支援センター)
http://www.jmbsc.or.jp/hp/cwfe/p0120.html
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