【読むeラーニング】第2章 大気の熱力学1 〜その27〜「乾燥断熱減率・温位」
(その26の続き)
水蒸気が絡んでくるとなかなか難しいので細かくやっていきますけれども、大気中にある水蒸気を水蒸気圧でよく表現しますが、大気中に存在できる水蒸気圧というのには温度による上限があります。例えば、他の空気の成分、酸素がどれぐらい、窒素がどれぐらいとか、気圧とか、そういうことは関係なくて温度だけの関数で勝手に空気中に存在しているんですね。水蒸気だけの都合でやってるみたいなものなんですよ。水蒸気がどういうふうな振る舞いをしているか、水蒸気は気体、液体と変わるじゃないですか。気体になったり、水になったり、氷になったりって状態が変化しますけれども、じゃあ今、蒸発とか凝結っていうこの状態の変化だけを取り出してみると、この図はこれが水面でここが空気です。ここの水面から飛び出したり、水面に飛び込んだりっていうのが常に行われているんですね。常に行われているこの水分子の行ったり来たりが、出ていくほうが蒸発で、水面に飛び込んでくるほうが凝結です。これを温度によって勝手にやってるってことなんです。他の気体なんて一切無視ですよ。
例えば温度が上がったとすると、分子の活動が活発になって水面からどんどん飛び出すんです。飛び出していくんだけど、飛び出すということは蒸発が進むということなんです。そうすると空気側に水分子がいっぱいになってくるじゃないですか。水蒸気の分子がいっぱい気体に入るようになりますと、あるところで「もう無理、これ以上来ないでほしい」みたいなことになるわけです。そうすると、その状態を平衡状態と言うんですけれども、要するに出ていく数と入ってくる量がちょうど同じになって、出ていけば入るし、入ってくるんだったら出るし、というのが同じ数の平衡状態になるんですね。
(その28へ続きます)
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